熱力学や統計力学は、量子力学などの影に埋もれがちですが、しばしば顔を出してくる分野でもあります。
量子力学を学習する前提となっているものですから、マスターしておきたい単元の一つです。
ここでは、熱力学や統計力学でやるべきことと、おすすめの問題集を紹介します。
熱力学の問題集を解く前にやるべきこと。
熱力学の問題は、状態方程式に関する問題や統計力学の問題とセットになって出題されることが多いよう感じられます。
そのため、まずは熱力学や統計力学のテキストで、基本の式の導出ができるようにしておきます。
院試では、大学によっては○○を××を使って表せというような問題や、△△を示せというような問題が頻出します。
それだけ基本が重要視されているということです。
院試では、教科書に書いてあるような問題も出題されることがありますので、基本はおろそかにはできません。
一度、熱力学から統計力学まで連続した流れで復習するとよいでしょう。
どの問題集を解けばいいの?
講義の試験対策から院試レベルまでの問題集
「演習しよう 熱・統計力学―これでマスター!学期末・大学院入試問題 (ライブラリ物理の演習しよう) 」は、ページ数が215ページながらも、熱力学・統計力学の基本の問題がバランスよく収録されています。
解説が丁寧である点からも、初めて熱力学・統計力学を学習する人にとっても、学習することができるかと思います。
目次
- 熱力学を学ぶための数学
- 熱力学の基本法則
- 熱力学の展開と応用
- 統計力学の基礎
- 古典系への適応
- 量子力学からの帰結
- 量子系への適用
と一通り学習できるようになっています。
講義の試験や院試の基本はこの1冊で十分です。
熱力学や統計力学を深く学びたい人向け
古くから使われている演習書で、この1冊を押さえておけば、研究でも通用するぐらいのレベルになると言われている本です。
そのため、問題のレベルが高く、初めて熱力学や統計力学を学習する人にとっては、難問だらけであると思えてしまうぐらいです。
演習として使うのであれば、2冊目の演習書としての位置づけで学習することをおすすめします。
ある程度、難しい問題が出題される大学院を受験するようでしたら、この「大学演習 熱学・統計力学」の問題集も学習しておくとよいでしょう。
ただし、演習する際には問題数が多く、時間的な問題からも以下のように段階を経て学習するといいでしょう。
演習問題はA、B、Cと難易度ごとに分類されています。
- 最初はA問題のみ学習、
- A問題の学習が終了後、時間の余裕があったらB、C問題も学習
A問題の学習だけでもかなりの実力がつくはずです。
また、問題が解けなくても、解説が「略」で終わるようなことはないので、辞書的に使うという方法もあります。
目次
- 熱力学的状態,熱力学第1法則
- 熱力学第2法則とエントロピー
- 熱力学関数と平衡条件
- 相平衡および化学平衡
- 統計力学の原理
- カノニカル分布の応用
- 気体の統計熱力学
- Fermi統計とBose統計の応用
- 強い相互作用をもつ系
- ゆらぎと運動論