理系の卒業研究では、LaTeXを使ってレポートや論文を提出することが多いようです。
これは、Wordなどのビジュアルエディターでは、数式を書くのに非常に時間がかかるだけでなく、レイアウトもあまりうまく配置できないからです。
大学によってはLaTeXを学習する講義もあるようですが、自分でこのように出力したいというときに、手元に出力のさせ方についての参考書があったほうが何かと便利です。
ここでは、LaTeXのおすすめの入門書を紹介します。
基本的なことは大学生のうちに身につけよう。
君は院試に合格することを目指して、このサイトを見ているかと思います。
確かに院試に合格しなければ、大学院で研究することはできません。
このサイトでは院試に合格することを目指して、何を勉強したらよいかについて記載しています。
しかし、大学院の修士課程や博士前期課程の2年間はあっという間に過ぎていきます。
大学院に入ってからは専門課程の学習だけでなく、論文を読んだり、研究を始めたりと何かとやることがたくさんあります。
そのため、大学生のうちに基本的なことを身につけておく必要があります。
講義を取ったり、輪講の準備があったり、自分の研究のための論文を読んだり・・・。
これだけでもかなりの時間が取られてしまうのです。
卒業研究の論文、Wordは使わないの?
院試活では、単に大学院に合格することだけを目指すのことを目的にしていません。
大学院に合格した後で、自分の研究がスムーズに行くために必要なことについても掲載していきます。
ここでは院試にはでないけれども、大学を卒業するために必要な卒業研究や大学院で論文を書くときに使う必須の技術について紹介します。
理系の卒業研究や論文執筆の際には、パソコンで文章を書くときに使うような「Word」のようなワードプロセッサーは基本的に使いません。
というのも、論文を書くときには数式が必ずと言ってもいいほどでてきます。
Wordのようなワードプロセッサーでも簡単な数式を書くときには、数式エディターで書くことができますが、複雑な式になると数式エディターを使っても、一つの式を書くだけでも相当な時間がかかってしまいます。
さらに論文を執筆するとなると、全世界共通のフォーマットで提出しなければなりません。
そのため、理系の卒業論文ではWordのようなワードプロセッサーでは論文を書かないのです。
一体、何を使って書くの?
理系の論文で使われているものは、TeXと呼ばれる組み版システムで執筆しているのです。
TeX自体は、既に非常に安定したソフトウェアであり、特に手を加えなくても普通に使う分には問題なく動作します。
しかし、世界中にはたくさんの言語があり、日本語のようにアルファベット以外の文字を使う必要な言語もあります。
そのような言語にも耐用できるよう、TeXを拡張したLaTeXなどが作られています。
いくつか種類があるのですが、基本的な部分はLaTeXと変わりませんので、以下ではLaTeXと記載します。
文章を書くときによく使われるWordは、入力した内容がそのまま表示される仕組みです。
つまり、出力のイメージをすぐに確認することができます。
利点は、書いた文章のイメージがすぐにみえるので、修正が容易である点です。
ただ弱点もあります。
それは書いた文章のイメージがすぐに見えるので、文章を少し修正しただけで、全体のレイアウトを修正しなければならないことがあるという点です。
また、数式を書くのにもひと手間かかります。
しかし、文章だけを書くことの多い理系以外の学部や会社などでは、このWordで書くことがほとんどです。
一方LaTeXは、通常の文章を書きながら、ここはこのように出力するという記号を文章中に入力します。
プログラムを書いているようなイメージです。
LaTeXは文章を書くときに使われているものですが、実際に出版社がコンピューターで出版をするときに使っても職人技が発揮できるぐらい
一番近い例が、このサイトで表示されているようなウェブサイトのHTML。
最近は見たままの状態で書くことができるようになってきていますが、HTMLのファイルを保存して、中身を見ると、なんだかおまじないのような記号がたくさんあります。
このような形のものをマークアップ言語と言います。
このマークアップ言語の利点は、
- Wordなどのワードプロセッサーを使わなくても、notepadなどのテキストエディタがあれば書くことができる点、
- 整形等はこれを処理するプログラムやソフトに任せることができるので、本文の内容に集中できる点、
- テキストでやりとりができるので、持ち運びが容易である点
などが挙げられます。
欠点は、見たままの状態では完成せず、プログラムやソフトで処理する必要がある点です。
LaTeXもマークアップ言語ですので上記のような欠点もありますが、それでも理系の論文では事実上のデファクトスタンダードになっていることから、論文を書く上でも非常に便利であることにはまちがいありません。
特に威力を発揮するのは、数式を書くときやある行を参照するときの番号、英語のハイフネーション処理や図形の出力位置の自動調整といった、本文を書く上では付随作業になるような項目です。
目印さえつけておけば、自動でやってくれますので、見たままの状態で出力できるWordなどで文字を少し修正したら、レイアウトが全て狂ってしまい、全ページ修正が必要になったという労力がなくなります。
実際にLaTeXに触れるのは、研究室に配属になってからだと思います。
レジュメを作るときや、卒業研究をまとめる際に使うことでしょう。
LaTeXには非常にたくさんの機能がありますが、実は文章や数式を書くのに必要な知識はあまり多くありません。
LaTeXを学ぶのは、時間を別途取って学習のための学習をするのでは効率がよくありません。
そこで、実際に使う場面になったときに、少しずつ学習するスタイル:実践型スタイルで学習すると、覚えるのも早くなります。
ここでは、辞書的に使うのに適した参考書を紹介いたします。
おすすめの参考書
スタンダードの入門書
LaTeX美文作成入門は、1991年からほぼ3年おきに改訂版が出版されています。
TeX自体は既に開発されていませんが、TeXを活用した周辺の技術やネット環境などのコンピューター環境の変化に伴い、便利なツールなどがでてきます。
3年ぐらいたつと、より便利な物が出てくることから、書籍の内容もそれに合わせて変更されています。
昔のLaTeXは紙に出力するだけを目的にしていたのですが、近年はプレゼンテーション用のものややデータを使ったグラフが簡単に使えるようなツールも出回っています。
このような派生した機能はたくさんありますが、理系の文章を書くときに使う最低限必要な機能に絞って解説されていますので、LaTeX美文作成入門には、理系研究者には必須の書籍と言えます。
2020年11月に改訂第8版が出版されました。
この第8版では、最新のLuaLaTeXなどのTeX情報を織り込みつつ、学会などで使われているレガシーのpLaTeXなどもバランスよく記述されているのが特徴です。
この版から付属のDVDがなくなってしまいましたが、これはオンライン上でLaTexを使えるサイトがあることや、PCにDVDドライブがないことが原因のようです。
しかし、昨今のインターネットの通信速度の向上により、インターネット上から無料でダウンロードしても、昔と違い、ダウンロードにかかる時間はかなり短くなっているかと思います。
付録にインストール方法が掲載されているので、大丈夫かと思います。
研究室によっては、Unix上で文章を作成する必要もあるかもしれません。
このあたりは配属された研究室の流儀に従ってください。
ただ、基本的な構造や文法はかわりませんので、いずれにせよ、LaTeX美文作成入門を手元に置いて、辞書的に使うようにするとよいでしょう。