理系の院試で求められている点数は何点?
理系の院試では、TOEIC®の成績の提出を必要とする大学院も増えてきました。
実は点数の基準を公開している大学院はあまり多くありません。
したがって、質問掲示板に出ている点数はあまり根拠がないデータかもしれません。
しかし、
- 大学の報告書にはTOEIC®スコア平均点の伸び状況を示す報告(埼玉大学等)、
- 東京海洋大学海洋科学部のように進級の要件としてTOEIC®で600点※1
の情報を見る限り、大学3年生に求められているTOEIC®の点数は
600点
であると推定できます。
例えば埼玉大学では、2008年に出した「埼玉大学の全学教育に関する自己点検・評価報告書」には、
教育目標であるTOEIC®スコア600点
に設定して、英語教育をサポートしているという内容が書かれています。
10年以上前の設定ですが、その後の情報で730点で2単位、860点で4単位を認定するといった形で活用していることから、現在もTOEIC®を活用した英語教育に力を入れていることがわかります。
したがって、大学院でのTOEIC®の点数も600点以上が必要であると推定することができます。(注)
注:600点が合格点であるというわけではなく、院試を受けるのであれば600点以下だと危ないよという意味です。
追記:この記事を書いた後、総研大の物理科学研究科でTOEIC®のスコアの提出が可能な専攻がでました。出願書類をみると、要求得点
586点
を満たしている必要があると書かれています。
このことからも、大学生に求められるTOEIC®の点数が600点であることが裏付けられます。
さらに、600点が最低点数であるということもこの要求得点からもわかります。
なお、ETS®のTOEIC®スコアとコミュニケーション能力レベルとの相関表(Proficiency Scale)は以下のようになっています。
レベル | TOEIC®
スコア |
評価(ガイドライン |
A | 860- | Non-Nativeとして十分なコミュニケーションができる。 |
B | 730- | どんな状況でも適切なコミュニケーションができる素地を備えている。 |
C | 470- | 日常生活のニーズを充足し、限定された範囲内では 業務上のコミュニケーションができる。 |
D | 220- | 通常会話で最低限のコミュニケーションができる。 |
E | -220 | コミュニケーションができるまでに至っていない。 |
ETS®のTOEIC®スコアとコミュニケーション能力レベルとの相関表(Proficiency Scale)より転載 ※2
この表を見ると600点は、Cランクの中間に位置するレベルです。
600点という点数は、単に切りのいい点数というわけではなく、相関表の真ん中の点数は取ってくださいねというメッセージなのです。
ちなみに、IIBC(日本でTOEIC®の受験を主催している団体)が発表している、2016年度の大学生と大学院生の団体受験(IPテスト)での平均スコアは、以下のようになっています。
大学生平均(全学部)
学年 | 受験者数 | Listening | Reading | Total |
大学1年 | 232,669人 | 241点 | 190点 | 430点 |
大学2年 | 107,129人 | 249点 | 186点 | 435点 |
大学3年 | 68,123人 | 275点 | 209点 | 484点 |
大学4年 | 22,451人 | 290点 | 223点 | 513点 |
大学院1年 | 6,225人 | 280点 | 226点 | 507点 |
大学院2年 | 2,614人 | 286点 | 230点 | 516点 |
理・工・農学系平均
学年 | 受験者数 | Listening | Reading | Total |
大学1年 | 55,382人 | 235点 | 190点 | 425点 |
大学2年 | 23,473人 | 237点 | 179点 | 416点 |
大学3年 | 17,607人 | 243点 | 186点 | 429点 |
大学4年 | 7,418人 | 258点 | 202点 | 460点 |
※出所元:TOEIC® Program DATA & ANALYSIS 2017 2016年度 受験者数と平均スコア
IPテスト(団体受験)は受験料が通常試験より安いのですが、IPテストの試験結果は出願書類として認められない場合がありますので、大学3年生になったら正式の試験を受けるようにしてくださいね。
IPテスト(団体受験)では、1年生のうちは大学で受けるよう指導をしていることもあり、受験者数が非常に多くなっています。
これを見ると、大学3年生の平均点が484点(理・工・農学系平均:429点)となっています。
しかし大学院の出願要件は、多くが正式のTOEIC®試験の結果(公式認定証)です。
IPテストの結果は使えないことが多いので、実際に大学院に進学を考えている人のデータは含まれていない可能性が非常に高くなっています。
TOEIC®600点越えは大変?! でも、大学生の特権が味方します!
TOEIC®の試験で600点を取れていない君は、まず600点を目指すことを目標にしてください。
しかし、600点というレベルは、「日常生活のニーズを充足し、限定された範囲内では
業務上のコミュニケーションができる。」範囲に当たります。
基本の文法以外にもビジネスで出てくるさまざまなシーンで使われる英語に慣れなければなりません。
さらに試験はリーディングだけでなく、リスニングもあります。
そのため、この部分を突破するためには、かなりの勉強量が必要です。
TOEIC®の平均点が600点を超えないのは、この勉強量を確保するのが難しいからだと推測しています。
社会人になると、TOEIC®以外にも各種の資格を取るよう言われることがあります。
また、業務に関係する内容についてもいち早く覚える必要があります。
会社に出社している時間は業務のことをやっていますので、各種の資格や業務で使う内容を勉強する時間は通勤時間の合間を縫って勉強することになります。
それに加えてTOEIC®の勉強となると、ほとんど時間が確保できないというのが現状でしょう。
それが、TOEIC®の試験の平均点が600点を超えない理由ではないかと推測しています。
もちろん、大学生の君も普段は講義があり、その予習復習で精いっぱいかもしれません。
しかし、大学生には年2回それぞれ1ヶ月半から2カ月ほどの長期休暇があります。
社会人にはありません(余談ですが、大学の先生は、この講義がない1ヶ月半から2ヶ月間をフルに活用して、自分の研究を行っているはずです)。
つまり、社会人にはない長期休暇があるのです。
これは大学生だけの特権です。
高校までも休みがありますが、長くても1カ月程度。
1ヶ月半から2カ月休みというのはありません。
長期休暇中には集中講義も開講される可能性もありますが、それ以外は普段のように講義で大半が終わってしまうことはないと思います。
何もない、この長期休暇を利用して学習を進めるのが、TOEIC®600点の壁を突破するために、もってこいの時期なのです。
600点超えを目指しましょう!