研究生活を行う上で大切なのは、実験ノートです。
実験や観測では、何をしてどうしたかという記録とデータが必須になります。
これらのデータをきちんと証拠として残すことが、後々のためにもなるのです。
一方、実験や観測をする研究を行う人だけが実験ノートが必須で、理論系の人には関係なさそうに思えます。
しかし、実験ノートは理論系の人でも書く必要があるのです。
理論を構築する際やシミュレーションを作り出す際にも、どういうプロセスで、何をしたらどうなったかを記録する必要があります。
初期データを少し変えたら、まるで違った結果が出たということもあります。
シミュレーションは、実験装置がコンピューターの中に全て入っている状態で、直接薬品を使ったりするものではありませんが、実際のものと同じ実験には変わりありません。
理論を構築する場合は、実験ノートというよりはむしろ研究日誌といったほうがいいかもしれません。
いずれにせよ、研究した客観的事実を残すことにはかわりありません。
ここでは、実験ノートの書き方についての書籍を紹介します。
実験ノートの書き方をじっくり学習する機会はある?!
最近は、研究不正が大きく話題になったため、研究に関する倫理教育も行われているところもあります。
ただ、この倫理教育は研究不正などを行わないというような内容であるため、実際の正しい実験ノートの書き方を学び、実践するものではありません。
実践するのは、「実験」の講義になります。
しかし、正しい研究を行うための、大学の実験の講義で実験ノートの書き方を学習するところもあるかもしれませんが、実験ノートの書き方に時間をかけて説明しているところは少ないかもしれません。
どちらかというと、実践しながら学ぶというような感じになっているかもしれません。
ですが、実践を行う前に、どのような実験ノートの書き方をしらないと、いざ実験ノートに記録を書くときに困ってしまいます。
例えば、
- 実験ノートはどうしてつけるのか?
- 正しい実験ノートの書き方
- 実験を始める前と実験を進めながら書いていくこと
ということです。
このことを理解してから、実際に実験ノートをつけるのと、ただなんとなく実験ノートをつけるのとでは、実験ノートの重みが全く異なります。
大学の卒業研究や大学院での研究では、実験ノートの重要性が増してきます(場合によっては、実験ノートをつけなくてもできてしまうこともありますが・・)。
とはいえ、正しい実験ノートの書き方というものがないのも事実です。
研究室で実験ノートの書き方の指導がある場合もありますが、なければ自分でルールを決めて書くしかありません。
ここでは、広くお約束になっているやり方や実験ノートにどのようなことを書いておくと研究が順調に進むかもしれないという内容を紹介した書籍を紹介します。
残念ながら、理論やシミュレーションでの実験ノートの書き方についても探しましたが、見つけることができませんでした。
しかし、以下で紹介する実験ノートの書籍は、理論やシミュレーションでも役立つ部分があるはずです。
研究が理論やシミュレーションだから関係ないと思わず、手に取ってください。
学べることがあるはずです。
実験ノートの大切さ
かつて「STAP細胞」に関する事件が起こりました。
論文に問題があったのが一番ですが、それ以上に証拠となる実験ノートの記載が不十分であり、どのような手法を用いて成功したのかわからなかったのです。
そればかりでなく、追試で誰もSTAP細胞を作ることもできなかったのです。
最近は、デジタルデータで保存することが多くなったので、実験ノートに書くことができない場合もあるでしょう。
しかし、実験手法ややったことがきちんと正確に書いてあったならば、たやすく再現できたことでしょう。
再現できていれば、また違っていたかもしれません。
実験ノートは、追試を行うときや、自分の実験の正当性を主張する上でも大切な存在でもあるのです。
おすすめの書籍
実験ノートのつけ方を知りたいときに手にしたい1冊
実験ノートに書くことは、テストの穴埋め問題と違って、決まった書き方というものが存在しません。
とはいえ、こういうことを書いておくと、実験の物的証拠として使うこともできますし、追試を行う場合でも、たやすく再現することができます。
前の実験ではうまくいかなくても、加える資料を0.1g変えただけで、成功するかもしれません。
だからこそ、実験ノートをつけることは非常に重要になってきます。
「誰も教えてくれなかった実験ノートの書き方 (研究を成功させるための秘訣)」では、
- 実験ノートは何のために書くのか?
- 実験ノートのおやくそく
- 実験を始める前に書いておくこと
- 実験を進めながら書くこと
- 実験が終わってから書くこと
について解説しています。
それに加えて、最終章では「実験ノートを書くことであなたは成長する」という章をもうけています。
実験ノートは、君自身の成長の記録でもあるのです。
「実験ノートは何のためにつけるのか?」
「実験ノートってどのようにつけたらいいのだろう?」
と思ったら、手にしたい1冊です。
実験ノートから論文提出までの流れをまとめた1冊
実験ノート入門というタイトルですが、実験ノートについて詳しく書いているというよりも、実験から論文提出までの流れをまとめた書籍です。
目次
- 実験ノートの書き方
- 文献調査の重要性と進め方
- 実験データの整理・活用法
- レポート・報告書・論文の書き方
- 次につながるデータの整理と分析の活用法
- 報告書の提出と論文の投稿
- 研究のサイテーション(引用と著作権)
実験は研究のために行うものであって、実験が終わったら終わりではありません。
レポートや報告書、論文を書くために行うのです。
大学の実験で作成するかもしれませんが、一連の流れというものは、なかなか見えにくいものです。
「即戦力になる実験ノート入門 (わかる基礎入門)」では、実験ノートから論文までの一連の流れを完結にまとめてあります。
例えば、Excelの操作の説明もありますが、どちらかというとExcelを使えば便利ですよという意味合いで掲載している感じがします。
詳しい操作は、別のExcelの操作マニュアルや書籍で確認するようにします。
とはいえ、この書籍はExcelの操作を説明する書籍ではなく、一連の流れを説明する書籍なので、このくらい分量で十分です。
大切なのは、一連の流れが見えること。
実験ノートから論文までの一連の流れを見るには、ちょうどいい分量だと思います。
全体の流れがみえるだけでも、実験に対する意気込みが変わってくるかもしれませんね。