大学レベルの天文学の内容を学習するときに直面する問題が、参考書や問題集が少ないという事実です。
近年、「現代の天文学シリーズ」やより専門レベルの内容を紹介した「新天文学ライブラリー」が刊行され、参考書としては充実してきましたが、残念ながら、実用的な演習書は皆無に近い状態でした。
しかし、2020年2月に実用的な演習書が刊行されましたので、ここで紹介いたします。
過去に出版された演習書の問題点
実は、以前より天文学系の演習書は何冊か刊行されていました。
しかし、これらの演習書には大きな問題がありました。
それは、
問題の答えが略解しか掲載されていない
という問題です。
演習書の使い方は前書きに明示されているわけではありませんが、ゼミでの輪講や講義などで使うことを想定しているのか、略解のみが掲載されているのです。
アメリカのテキストは講義で使うことを前提に書かれているため、略解形式です。
講義を受けた上で学習する分には問題ないでしょう。
しかし、日本の大学で天文学全般の講義を多く受けることのできるところは、限られています。
さらに、独学で学習しようにも元となるテキストが少ないために、問題を解くために必要な知識が習得できないという問題も出てきます。
すわなち、演習書の作者の考えと、実際に使う側の問題点がうまく解決できていないミスマッチの状態が続いていたのです。
そのため、院試活では大学レベルの天文学演習書を紹介できずにいたのです。
ついにミスマッチを解決した演習書が発売!
けれども、2020年2月に発売された演習書は、このミスマッチを解決いたしました。
とはいうものの、演習書自体の形式は、詳細な回答はありません。
詳細な回答も含めて本にすると、書籍の販売価格が上がってしまうからだと推測いたします。
誌面を増やさず、ミスマッチを解決する方法として、出版社のサイトにPDFで詳細な回答を掲載したのです。
輪講や講義などで使うことを目的にした演習書ではなく、自習用として使うことを目的にした演習書に変わったのです。
この変化により、院試活でもようやく演習書を紹介することができるようになったのです。
おすすめの演習書
かなり以前から演習書としては発売されており、時々改訂されていました。
大学レベルの天文学の内容を一通り学習できる配分になっています。
数年前から、天文学検定1級の参考書として採用されている書籍です。
今回、院試活で紹介することにしたのは、版元である「恒星社厚生閣」のサイトに詳細な解答が掲載されたからです。
大学で学習する物理・数学の知識は必要ですが、自分で天文学の学習をしやすくなったことには変わりありません。
掲載場所は、下記の書籍紹介ページの真ん中にある『「極・宇宙を解く」詳解』のリンク先にあります。
ただし、2020年2月現在はまだ一部の問題のみ、詳解が掲載されています。
今後、少しずつ増やしていくそうです。
詳解の内容を確認しながら、学習することができますね。
そうそう、正誤表も併せてダウンロードして印刷し、間違っている部分を訂正しておきましょう。
それでは、また。