このページを見ている君は、大学に合格してこれから始まる大学生活に期待と不安で胸がいっぱいかもしれません。
大学は高校と違って、自分で決めてやらなければならないことが格段に増えます。
新入生向けのオリエンテーションもありますが、そこで大学生活4年間を全て説明しきれるわけではありません。
大学生活はどんなものか、予め知っておくだけでも、新入生としてスタートを切るタイミングからして、違ってきます。
ここでは、大学に合格したらすぐに手に取ってほしい本を紹介します。
大学では高校とは違って、自分で情報を集め、決めるところ
高校まではクラスがあり、選択科目で移動することはあるかもしれませんが、基本的にクラスで同じ授業を受けて過ごすというスタイルだったのではないでしょうか?
何かあれば担任の先生がサポートしてくれて、自分で情報を集めなくてもどうにか過ごせたかもしれません。
しかし、大学ではオリエンテーションがあるとはいえ、自分で講義を選択し時間割を作り、手続きを行う必要があります。
さらに、高校まであったようなホームルームがありますせんので、連絡事項も自分で掲示板を見に行ったり(もしくは学内インターネット上のサイトを閲覧したり)して、情報を集める必要がでてきます。
大学では、自分で行動しないと、先に進むことができないのです。
大学に合格したらすぐに手に取ってほしい本
大学に入っていきなり、「自分で行動して。」と言われても何をしたらいいかわかりません~~~。
確かに、自分で行動するにせよ、やらなくてはいけないことと、やった方がいいことというものは何かというのがわからないと、とまどってしまうわよね・・・。
頭の中に思い浮かべることもできません。
こんな時は、次に紹介する本を読むといいわよ。
どんな内容なんですか?
大学生活をうまくスタートさせるために、理系としての学び方、将来のためにしておくべきことなどを説明した本よ。
すごく知りたいことです!
読んでほしい本の1冊だから、真っ先に手に取って読むといいわよ。
この本は、理系の大学に入学が決まった人に向けて、大学生活の過ごし方を書いた本です。
大学生活は、高校までと違って、自分で決めて自分で行動することが非常に多くなります。
そのスタートである入学前後から1年生の始めぐらいまでに、うまく過ごせたら、残りの大学生活も順調に進みます。
でも、一体何をしたらいいのか、誰も教えてくれる人はいないかもしれません。
周りの人は、大学への進学が決まってほっとしていたり、卒業式や大学進学への準備でドタバタしていて、そこまで手が回らないかもしれないからです。
だからこそ、大学進学が決まったら、「理系大学生活ハンドブック」を手に取ってほしいのです。
「理解大学生活ハンドブック」には、大学入学前後から1年生前半までにやるべきこと、やった方がいいことについて書いてあります。
これをあらかじめ読んでから大学生活をスタートさせるのと、知らないままスタートさせるのでは、大きな違いが生まれることでしょう。
ぜひ手に取って読んでください。
目次
- まずはスタートが肝心
- 早く大学になじもう
- 理系大学ではパソコンが不可欠
- 大学の授業に慣れよう
- サポートの仕組み
- 学業以外も大切:クラブやアルバイト
- 将来への布石
- いざ研究者の世界へ
- 4年後への準備
- [付録]困ったときは
大学で学習する勉強の予習と高校までの内容を復習しよう!
高校までの学習は、学習指導要領によって学習する範囲が定められています。
高校生に教える範囲までを定めたものですが、この学習指導要領はしばしば改訂されます。
ところが、この学習指導要領には大学で学ぶべき内容の記載はありません。
学ぶべき詳細は、各大学によって変わってくるのです。
学習指導要領が改訂されたときに問題になるのが、大学で広く使われているテキストが、改訂前の高校で学習済みとしているものが非常に多いのです。
テキストを改訂しても、改訂版が流布する頃にはまた、学習指導要領が変わってしまうという悪循環になっています。
大学の先生方も事情はわかっていて、それなりにフォローをしてくれるはずですが、講義の時間数もある影響から、十分なフォローが受けられるとはかぎりません。
そこで、高校までの学習指導要領と大学で学習する内容の架け橋になる部分を大学入学までに学習してしまおうというわけです。
大学入学までにある程度学習しておいたいいなと思うものをピックアップしました。
- 数学(微分方程式、解析学(微分・積分)、線形代数(行列))
- 英語(TOEIC or TOEFL)
- 英語(理系英語)
以下でそれぞれについて、書いていきますね。
微分方程式の学習
学習指導要領では「発展学習」の微分方程式
以前の学習指導要領では、微分方程式まで範囲でしたが、今の学習指導要領では「発展学習」という位置づけになってしまいました。
学校によってはさらっと習うところもあるかもしれませんが、ある程度使えるようになるまでの問題演習の量もないかと思います。
大学では、微分方程式を使って解説をする講義が非常に多くなります。
大学でも微分方程式の学習をいたしますが、微分方程式を学習する前に他の講義で微分方程式が出てくる可能性は十分ありえます。
そこで、微分方程式の概要を学習します。
微分方程式って何?
自然現象や人間社会の変化を調べていると、何らかの法則が見つかることがあります。
例えば微小時間: \(dt\) の間に微小距離: \(dx\) だけ移動したときの変化の割合: \(v(t)\) を求める式は、
\[ v(t) = \frac{dx}{dt} \]
と書くことができます。
この微小時間を限りなく小さく取ったとき、 \(v(t)\) を速度と呼びます。
このように、未知の関数となんらかの変化の割合(導関数)の関係式として記述されている方程式のことを
微分方程式
と呼びます。
自然現象や社会現象にはこの微分方程式がたくさん出てきます。
そのため、微分方程式を解くことは、自然科学に関連した理学系、工学系には避けて通れない道なのです。
微分方程式の参考書
高校の学習指導要領から微分方程式がなくなりましたが、発展学習として残っています。
そのため、一部の教科書やチャート式:数III(全色)には微分方程式の簡単な説明が掲載されています。
しかし数ページしかないため、これだけでは不足です。
また、微分方程式が高校の学習指導要領からなくなったため、微分方程式を書いてある高校の参考書も廃版になったり、改訂されて項目がなくなってしまいました。
このように学習しづらい環境にはなっているのですが、今のなお販売し続けている参考書が「モノグラフ 微分方程式」。
イメージとしては、高校数学のチャート式の単元ごとに分けて、分冊で販売しているというイメージです。
テキストの構成は、かんたんな説明の後、例題、演習問題と続いています。
説明が少ないと感じるかもしれませんが、微分方程式の詳しい内容は、大学の講義「常微分方程式」や「偏微分方程式」の項目で学習します。
まずは微分方程式を解けるようにしておいて、それからさらに深く学んでいく方法をとる方が、効率的だと思います。
微分方程式は物理の問題で必ず出てくるほど重要な単元です。
大学入学前に知っておいた方がいいレベルとしては、先の「微分方程式 (モノグラフ (20))」で十分です。
ただ、せっかくなのでその先をちょっと知りたいという君には、ブルーバックスの「今日から使える微分方程式 普及版 例題で身につく理系の必須テクニック」も合わせて読むと、微分方程式がどんな風に使われているのかがわかっていいかもしれません。
大学で学習する常微分方程式の内容まで含まれていますが、大学に入るとこんな感じで微分方程式を解くんだということがわかっていいかなぁと思います。
解説もかなり丁寧に書かれていますので、「微分方程式 (モノグラフ (20))」の問題がある程度解けるようになれば、どうにかこうにか読み進めることができるのではないかと思います。
大学で学習する内容も見てみたいという君には、「今日から使える微分方程式 普及版 例題で身につく理系の必須テクニック」はおすすめです。
解析学(微分・積分)の予習・復習
大学でも微分・積分の講義はありますが、高校までに学習している内容が多いので、速いスピードで講義が進んでいくことが多いようです。
そこで、大学入学前までに高校の微分・積分を復習できて、なおかつ大学の微分・積分のさわりを知ることのできるテキストで学習します。
微分・積分のテキストはたくさん出ていますがその中でおすすめなのが、「S. ラング 解析入門」です。
海外のテキストの場合、微分・積分のスタート地点は、日本の高校で学習する微分・積分の範囲からスタートすることが多くなっています。
「S. ラング 解析入門」もスタートは、日本の高校で学習する微分・積分からスタートしています。
大学講義テキストとしては使いづらいのですが、高校数学の復習から大学数学の入門までを連続して学ぶことができる点で、おすすめしています。
原著は第5版まででており、院試活では通常、原著をおすすめしていますが、学習にかけられる時間を考えると、日本語版で学習した方が目的が達成できると判断して、日本語版を紹介しています。
「解析入門 原書第3版」のほうは、
- 基礎事項の復習
- 微分と基本的な関数
- 積分法
- 級数
- \(\epsilon – \delta\)その他
- 多変数の関数
について記載されています。
「続 解析入門 原著第2版」は、ベクトルや行列の話が多くなっています。
ベクトルや(一般化した)行列については、大学でベクトル解析や線形代数といった講義で学習することになるので、大学の講義で学習するといいでしょう。
「続 解析入門 原著第2版」がどのような内容になっているかを以下に掲載します。
- 第1章 ベクトル
- 第2章 ベクトルの微分
- 第3章 多変数の関数
- 第4章 合成微分率と勾配ベクトル
- 第5章 ポテンシャル関数
- 第7章 2重積分
- 第9章 3重積分
- 第11章 最大点および最小点
- 第12章 高次偏導関数
ただ、2重積分や3重積分といった内容は、大学の講義でもあっさり流されてしまう割に使うことの多い内容です。
大学に入って学習しても大丈夫ですが、わかったようなわからないようなという状態になった場合には、一部「解析入門 原書第3版」や、大学で学習するベクトル解析や解析力学の項目と重複してしまいますが、2重積分や3重積分などの多変数の微分積分は、以下のテキストがわかりやすくおすすめです。
目次
- 多変数関数とはどんなものか?
- 多変数関数の微分は偏微分
- 全微分は関数の微小変化分
- 多変数テイラー展開を駆使する
- 忘れてならないヤコビアン
- 積分経路に依存する線積分
- 面積分をマスターしよう
- 究極の定理、ストークスの定理
- ラグランジュの未定乗数法
高校で学習しない行列について
高校では学習しない単元で、大学のテキストでは学習済みとして扱われているものに
行列
というものがあります。
大学では「線形代数」の項目で扱われ、比較的早い時期に学習いたします。
しかし、この線形代数のテキストも
- 高校では行列を学習しているものとして扱われているテキストもあること
- 一般化した行列をすぐに扱うため、物理や工学でよく使う、2 × 2行列や3 × 3行列の演習が不足すること
という問題があります。
特に3×3行列は私たちの空間が3次元であることから、物理や工学でよく用いられます。
例えば、3次元空間で\(x\) 軸の周りを回転する行列は、
\begin{pmatrix}
1 & 0 & 0 \\
0 & \cos\theta & -\sin\theta \\
0 & \sin\theta & \cos\theta
\end{pmatrix}
のように書くことができます。
回転させることによって、見やすくなったり計算がしやすくなったりすることもあるのです。
そのため、物理の力学のテキストにも行列を扱った項目が掲載されているくらいです。
しかし、これらのテキストは行列についてある程度学習していることが前提になっていますので、説明が簡潔であり、理解するのに少し時間がかかるかもしれません。
大学の行列では、大学によって異なりますが、最終的には一般化した行列まで一気に学習します。
とはいえ、具体的な例である程度演習していないと、一般化した行列で学習してもイメージがつかないかと思います。
そこで、以下では行列について高校数学程度のレベルで学習できる参考書を紹介いたします。
この中からどれか1冊選んで学習するとよいでしょう。
高校レベルから大学入門レベルまでを連続で学びたいならこの本!
列について、意欲ある高校生に読んでもらいたいとの思いから刊行されたそうです。注2
注2 刊行された当時は、高校で行列を学習していました。
そのため、高校の教科書レベルから少しずつ大学で学習する内容にシフトできるよう配慮されている参考書です。
学習のしやすさを考慮して、2×2行列と3×3行列に絞って説明してあり、さらに丁寧に式の展開を行っています。
行列はとっつきにくいと感じたときの、おすすめの1冊です。
行列を学習していない人向けに書かれた大学初年度用のテキスト
行列を学習していない事を前提に、行列に慣れるために書かれたテキストです。行列や行列式は、一般化したn次まで考えることができますが、このテキストでは、3次までにとどめていて、計算で追うことができるよう配慮されています。
先のテキストもそうですが、線形代数の理論を学ぶというよりは、行列になれることを優先しているテキストです。
そのため、無理なく学習することができることでしょう。
行列に慣れ、その後、線形代数の理論を学ぶとより理解が深まると思います。
高校生向けと大学生向けの中間の本
以前ここで紹介しました「駿台受験シリーズ 分野別 受験数学の理論9 行列」は残念ながら絶版になってしまいました。
しかし、2017年に「行列と線型変換」というタイトルで、改訂されたものが出版されました。
もともと駿台受験シリーズは、教科書レベルの内容が理解できている人がさらにレベルアップさせるために活用していたテキストシリーズです。
そのため、受験に出る内容だけでなく、大学に入ってからも数学を必要とするために書かれた教科書と位置づけられている内容です。
2×2行列だけでなく、3×3行列もでてくるので、現在の大学生にとっても活用できる内容となっています。
行列が初めてという人にはやや難解に感じるかもしれませんが、一度行列を学習した後で、行列の理解が少し足りないと感じたときに読むのがおすすめです。
大学で学習する線形代数の参考書のステップはこちら
英語
理系の英語の場合、二つの英語の勉強をします。
一つは、大学のクラス分けや院試の試験で使われるTOEIC、TOEFL。
もう一つは、理系のテキストや論文を読むための理系英語です。
TOEICかTOEFLのどちらを勉強したらいいですか?
進学する大学によって、TOEICを推奨しているかTOEFLを推奨しているかが変わってきます。
そのため、大学でTOEICを推奨しているのであればTOEICの勉強を、TOEFLの勉強を推奨しているのであれば、TOEFLの勉強を行います。
大学入学後すぐに英語のクラス分けのために試験を行う場合もあるでしょうし、入学してからテストを受けるよう推奨している場合もあるでしょう。
この機会をうまく活用してください。
勉強と言っても、今はどのくらいの点数がとれているのか目安がありません。
そこで、TOEICやTOEFLではどのような問題が出題されているかを演習します。
具体的な演習は、テストの結果を見てからになります。
なお、学校で受けるTOEICやTOEFLの試験は、公式のテストではなく、団体試験と呼ばれるものです。
特にTOEFLは、TOEFL ITPテストと呼ばれています。
どちらも、公式のテストではないので、公式の認定証としては使えませんが、現時点での実力を早く知るためにはもってこいの試験です。
出題される内容は、リーディングとリスニングです。
どのような問題が出題されるかをみるための参考書は、それぞれ以下の書籍です。
この参考書で、どのような問題が出題されるかを確認しながら問題を解いていきましょう。
具体的な学習は、大学で受けた試験の結果を見てから行います。
理系英語をなぜ勉強する必要があるのですか?
英語は高校までの科目に取り入れられているため、たくさん学んでいるはずです。
大学では、数学や物理などの英語のテキストや論文を読んだりしたりします。
ところが、高校まで英語が得意だったとしても、いざ英語のテキストや論文を読もうとすると、どのように読んだらいいか戸惑うこともあるかもしれません。
数式は万国共通ですので、英語の読み方がわからなくても式はわかりますが、数式の説明には文章で話をすることになります。
また、四捨五入などの数学用語や科学用語も出てきます。
こういった説明や用語に慣れていないと、ニュアンスが理解できなかったり、英文を読んだときに数式が思い浮かべることができなかったりしてしまうのです。
これは高校までの英語の学習で、数学や物理に関する英文があまり出てこなかったことが原因です。
専門課程に進んだり、研究室に配属されたら、大部分のところで英語の論文やテキストを読むことになります。
このときなって慌てて学習しても、読み進めるのにかなり苦労します。
英語は、学習したからといってすぐに力にはなりません。
日々の学習の積み重ねで、読めるようになるのです。
理系英語は難しそうに見えますが、こういった数式や用語に慣れてしまえば、そんなに難しくはありません。
いざ英語のテキストや論文を読むことになったときに慌てずにすむよう、今のうちから学習しておこうというわけです。
理系英語を学習する際におすすめの書籍は次の2冊です。
「論文・レポートを読み書きするための理系基礎英語」は、高校の理系科目(数学・物理・化学・生物)で出てきた用語のうち、知っておくと良い英単語を理解しやすい例文で説明しています。
音声はついていませんが、紙の書籍も手に入りやすいですし、Kindle版も入手可能です。
書籍や論文は、読むところがスタートですので、読み方だけでもわかればかなり変わってくるかと思います。
もし、音声も聞きたいというのであれば、「教養としての理系の英語 CD BOOK: 数式の読み方から理系の英語表現・語彙」にCD、音声ファイル(別売り)で入手することができます。
「教養としての理系の英語 CD BOOK: 数式の読み方から理系の英語表現・語彙」は、数式の英語の読み方から理系の英語表現・語彙(ごい)を中心に収録されています。
残念ながら紙の書籍を手に入れるのは難しくなっていますが、電子版が存在します。
電子版にはCDがついていませんが、
にて、別売りで音声ファイルをダウンロードすることができます。
どのような言い方をするのかも音声で確認したい場合には、「教養としての理系の英語 CD BOOK: 数式の読み方から理系の英語表現・語彙」がおすすめです。
どちらか一方のテキストで学習すればいいでしょう。
まとめ
大学では、自己責任で行動しなくてはいけない項目が増えていきます。
学習に関しても同様です。
学習しなくてはいけない内容が非常に多くなりますので、少しでも早いスタートを切って、大学での学習に有利にした方がいいと思います。
少し分量が多いですが、予習・復習しておくと大学の講義の理解が進むでしょう。