現代物理の大問題
物理の2大基本法則といえば、相対性理論と量子力学です。
小さくて光速に近い速さで飛び回る物質やブラックホールなどの非常に大きな重力が働くような場所などでは、この2つの効果が合わさった現象が起こるはずです。
しかし、相対性理論と量子力学の統合はそう簡単ではありません。
どうにか統一しようと研究が続けられています。
しかし、それぞれを単独に扱っても説明できる現象はたくさんあります。
量子力学だと、トンネル効果など。
相対性理論だと、ブラックホールの存在予言や、重力レンズ効果、重力波、GPSなど。
それぞれを学び、実際の現象に当てはめることが可能です。
今回は、相対性理論を学習するときにおすすめの書籍を紹介いたします。
おすすめの参考書
相対性理論は、座標系が慣性運動しているか、加速度運動しているかで2つにわけることができます。
座標系が慣性運動しているときは特殊相対性理論、加速度運動しているときは一般相対性理論となります。
論文の発表に関しても、特殊相対性理論が先に発表された後、一般相対性理論が発表されました。
学習する順番としても、特殊相対性理論から一般相対性理論と進んだ方が、相対性理論の考え方を学ぶ上でも便利です。
ここでも、特殊相対性理論と一般相対性理論を解説した参考書の順番で紹介します。
特殊相対性理論を学ぶ際、必見の参考書
特殊相対性理論は、特殊相対性と光速不変の2つの原理からスタートしています。
変換式自体はあまり難しいものでないので、流してしまっている参考書も多い中、この本は1章分使ってそれぞれ、
- 相対性原理
- ローレンツ変換
を解説しています。
また、相対性理論を学習するときにぶち当たる壁が数学の壁
- リーマン幾何学(一般相対性理論)
- テンソル(特に文字のお約束)
です。
この参考書は主に特殊相対性理論について解説していますので、一般相対性理論に出てくるリーマン幾何学についての解説はありません。
しかし、テンソルについては、これを読む際に学習していなくても理解できるよう、章を進めるごとに少しずつステップアップして理解できるよう配慮されています。
この書籍以上にテンソルの導入について配慮されたテキストはありません。
ファーストステップに読むべき参考書です。
一般相対性理論の概要をみるときの参考書
物理入門コースの相対性理論については、主に特殊相対性理論を学習します。
しかし、相対性理論は特殊相対性理論だけではなく、一般相対性理論もあります。
物理入門コースでは、一般相対性理論はほとんど触れることができていません。
その不足分を補うのがこの参考書。
この参考書は、一般相対性理論というものはどういうもので、そこから導き出された結果にはどのようなものがあるのかの概要を解説したものです。
ただ、紙面の関係からか説明がはしょり気味であること、数式の展開があまりなく、その部分を自分で埋める必要があるのが難点です。
ベースの参考書として使うのではなく、リーマン幾何学の概要や一般相対性理論から導き出される結論の概要とはどのようなものがあるかを見るために使います。
本格的な一般相対性理論入門書
元々は一冊の原著であったものを二冊分冊にした書籍です。一冊にまとめたハードカバー版もあります。
しかし、Iのタイトル(赤字のタイトル)は特殊相対論と書かれていますが、どちらかというとIIを読み進めるための、数学の準備の書籍といったほうが正解です。
特殊相対性理論を物理入門コース「相対性理論」で学習した後、この書籍でIIの一般相対性理論を学習するための準備をする、というステップになります。
一般相対性理論そのものについてはあっさりとしていますが、一般相対性理論を理解するには、そこから導き出される内容をじっくりと味わった方が一般相対性理論の面白さが伝わるかもしれません。
というのも一般相対性理論の方程式は難解でかんたんに解くことができないからです。
解いた人の名前がつくことからも、なんとなく推測できるかもしれません。
応用にページを割いているのも、解くことのできる問題であるという部分もあるようです。
この本の第2版が出版された後、重力波の検出に成功しています。
そのため、最新の成果である重力波の成果の記述などは少々古い内容となっていますが、数式そのものもが古くなったわけではありません。
むしろ、一般相対性理論の予言した重力波が検出されたのですから、むしろ数式が正しいことが証明されたということになるのです。
もし第3版が出版されたときには、重力波の章の記述は変わるかもしれませんが、出版されたときに変更点を確認すればよいでしょう。
なお、一冊にまとめたハードカバー版はこちら。
本格的に一般相対性理論の応用を学ぶためのテキスト
著者が2017年にノーベル物理学賞を受賞したのを記念して、2017年バージョンが出版されています。
辞書的に使われることが多いようで、院試対策で勉強するというよりは、意欲的に学びたい人、研究で使う人むけです。
とはいえ、一つ一つの内容について詳しく書かれているので、必要になったらすぐ使えるよう、手元に置いておくか電子版で所持しておくと便利です。
1000ページ以上もあるので、今回電子版も発売されたので重い書籍を持ち運びするのが大変だと思う人には朗報かと思います。
なお、日本語訳版もありますが、この参考書に関しては原著で読んだ方がよいでしょう。