数学の計算

偏微分方程式は、物理や工学系にもよく出てくる単元です。

波動方程式(膜の振動)や熱伝導方程式は偏微分方程式であるため、多くの研究で出てくることでしょう。

それだけ重要な単元なのが、偏微分方程式なのです。

 

偏微分方程式のテキストはたくさん出版されていますが、本によって学習の前提にしていることが違っています。

そのため、講義での学習前提と違っていると、偏微分方程式のテキストの学習に支障をきたすことになりかねません。

ここでは、偏微分方程式のテキストを紹介します。

偏微分方程式の学習ステップには少なくても2通りある

偏微分方程式は、ラプラス方程式・ポアソン方程式が出てきたり、フーリエ級数を使った解法があったりと、他の講義で学習するような内容が含まれています。

いずれの内容も物理系の応用でよく使う内容ですので、どこかで学習することになります。

 

しかし、大学によっては偏微分方程式を学習してから他の単元を学習することもあります。

そのため、偏微分方程式のテキストでフーリエ級数やベッセル級数を使った解法がいきなり出てきたりすると、そこで偏微分方程式の学習を止めて、フーリエ級数の学習を始める必要がでてきます。

最終的にはフーリエ級数やベッセル級数を使って偏微分方程式を解くことができればいいので、どの順番から学習してもゴールは一緒です。

ただ、道のりが複数あるだけなのです。

 

いくつかのルートがありますが、大きく違うルートとしては、2通り考えられ、

 

  1. 偏微分方程式を学習した後、ラプラス方程式やフーリエ変換を学習するパターン
  2. ラプラス方程式やフーリエ変換を学習した後、偏微分方程式を学習するパターン

 

です。

 

どちらのスタイルがよいかというわけではなく、講義の都合上の問題ともいえるのです。

 

もちろん、偏微分方程式、ラプラス方程式やフーリエ変換を学習した後であれば、どちらが先に学習したかは関係なくテキストを読み進めることができます。

最初に偏微分方程式を学習する時だけに必要な内容なのです。

おすすめの参考書

厳密性よりもとにかく解くことに重点を置いている参考書

偏微分方程式は、学部後半で学習する流体力学に限らず、電磁気学や波動といった、学部前半の科目でもでてきます。

そこで、厳密性にこだわらず、まずは偏微分方程式を解けるようにすることが先決です。

 

キーポイントシリーズは、厳密性や一般性にこだわらず、とにかく解けるようになることを意識して作られているテキストです。

式変形もマセマシリーズほどではありませんが、要点を押さえた丁寧に書かれています。

また、図も使われているので、直感的な理解しやすい点もプラスです。

 

なにより、フーリエ解析の知識がなくても前半を読み進めることができます(一通りの偏微分方程式の説明を終えてから、フーリエ変換の話が出てきます)。

 

目次

ポイント1 偏微分方程式と常微分方程式

ポイント2 ともかく解ける1階偏微分方程式

ポイント3 双曲型,放物型,楕円型

ポイント4 強力な解法――変数分離法

ポイント5 まるい境界での波動方程式

ポイント6 いろいろな座標系でのラプラス方程式の解

ポイント7 非同次も解ける固有関数展開法

ポイント8 フーリエ変換とグリーン関数

ポイント9 最後の切り札――差分解法

ポイントA 特殊関数は特殊でない

 

フーリエ変換、ラプラス変換の学習後読むとよい参考書

スタンリー ファーロウの偏微分方程式です。

1993年発行でリプリントバージョンであるため、古いのですが、海外でも広く読まれているものです。

こちらも厳密性はあまりありませんが、丁寧な説明が好評です。

 

フーリエ変換が2章の10節で、ラプラス変換が2章の12節で出てくるので、フーリエ変換やラプラス変換を学習してからでないと、「Partial Differential Equations for Scientists and Engineers (Dover Books on Mathematics)」を読むのはきついです。

 

また、原著の誤植は結構あるので、日本語版もおすすめします。

年度末などの時期は手に入りにくいこともあるようです(新品で発売中ですが、豊富に出回っているわけではありません)。

日本語版は以下のリンクから見ることができます。

 

偏微分方程式―科学者・技術者のための使い方と解き方

 

ただ値段が高いので、安価でアマゾンなどで手に入りやすい英語版も紹介しています。

Kindle版もありますが、レイアウトがあまりよくないので、できれば紙の書籍で購入することをおすすめします。

理論的な内容から物理の応用までを幅広くまとめた参考書

 

偏微分方程式に関する常識的な事項を一通り提供することを目的にした参考書です。

もともと偏微分方程式は物理学から誕生し、発展してきています。

第一部で、偏微分方程式の立て方を持ってきて、実際の物理現象に出てくる偏微分方程式の立て方について述べています。

その後、第二部で偏微分方程式の解き方がでてきて、そこで、

  1. 求積法
  2. 変数分離法
  3. 積分変換の応用
  4. 逐次近似法・摂動法
  5. 平面波解の方法・漸近解の方法
  6. 数値解析(差分法・有限要素法)

を解説します。

最後の第三部で偏微分方程式論の理論を解説する流れです。

 

要点を押さえていて、なおかつバランスのとれた構成になっています。

偏微分方程式を解くだけでなく、基本的な理論も知りたい場合におすすめの参考書です。

この「偏微分方程式入門」も、フーリエ変換やラプラス変換を学習しておいた方が読みやすい参考書です。

 

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